(素人小説執筆) 不便な探偵2-1~声援~
「太郎くーーん!すごーい!」
「がんばってー!」
「みんなかっこいー!」
必要以上に着飾った化粧3割増しなマダム達が若手人気俳優を応援するかのような声援を飛ばしていた。
「なぁ、ムラタ。いつもこんなかんじなのか?」
一応確認。
「何が?まぁ太郎君はすごいキーパーだよ。僕なんて練習で太郎君から1点も決めれた事ないもん。」
いや、そっちの話じゃない。んで、1点位は決めなさい。
練習か、マダムたちか、
どちらを見たらいいか悩んでいたら、
「村尾さんですか?」
いきなり後ろから話かけられたの、ついビクっとしてしまった。
「はい。いつもお世話になっています。えぇー、と、あー。」
振り向きざまにに答えてしまったが、何さんだかさっぱりわからん。。
「コーチの吉田です。」
「あっ。失礼しました。なんせ、見学に来たの初めてでして。すいません。村尾ムラタの父です。」
「いえいえ、せっかくなんでよく見てあげてください。来週決勝の試合なんでみんな気合入ってるんで見学だけでも楽しいと思います。
それにしてもよかったね、ムラタくん。今日はお父さんきてくれて。それではゆっくりしてください。」
な、なんて爽やかなんだ。
なるほど。
「なぁ。ムラタ。あのコーチ人気者だろ?」
「うん!吉田コーチは優しくてサッカーすごい上手だし、みんな吉田コーチの練習が1番やる気でるよ。」
いや、そっちの話じゃない。んで、誰の練習でもやる気だしなさい。
「じゃあ、僕も練習に戻るねー。」
”あの”ムラタが元気に走ってみんなに合流した。
友達もできたみたいだな。
入ったばかりで試合になんかでれやしないだろうが、習わせてあげてよかった。
ムラタが2か月前からサッカークラブに入りたいと意外な事を言い出し、
たまには見に来てと、また意外な事をいうので今日は来てみたんだけど。
暇があれば”あの”ムラタが予想外にもスポーツを始めたのだから、
見に来たかったが、半年前に開業できた副業のカフェが思ったより盛況なので暇が作れなかった。
たしかに試合前で気合入っていて見ごたえもあるし、
ムラタから聞いていたあのキーパーの子は確かに上手だな。
それにしてもあれにはビックリだ。
あの化粧3割増しマダムたち。
子供のサッカーの練習にその化粧量。
まっ。さっき理由はわかった。
うん。あのコーチのせいか。
ありゃ、マダムたちからしたらベストなイケメンだな。マダム受け顔だ。
話してみてもさわやかだし。
背も高いし、申し分ないアイドルコーチだな。
他のおじさんコーチが可哀そうな位。
でも、いくらイケメンでも子供のサッカーの練習にあの化粧はやりすぎなのではないだろうか。
サッカーとは関係ない事を考えていたらつい、マダム達たちの方を見てしまっていた。
「ナンカ。ウワサガアルラシイヨ。」
また後ろから話かけられたが、今度は驚かないでいれた。こんなやつはあいつしかいない。
「アオジ。なんだそれ?新作か?機械音になってるぞ。」
「アエテキカイオンクントイイマス。」
「へぇ。んで噂ってなんだ?」
新作”あえて機械音君”より噂のほうが気になる。
「ソレガネ。。。」
一応言いづらそうにしてるアオジ。故障か?
「コーチハアノマダムタチノナカニキニナルヒトガイルラシイ。」