トラパパブログ

ぱぱ的ポジティブ育児✨👍ぱぱは愛娘との幸せな毎日を書く❗

時間制限家族(5)

まずは整理しよう。
ヨシコはなぜ籍を抜きたいのか。
簡単だ。僕と夫婦である証をなくしたいんだ。それだけ嫌われたんだ。
じゃあなぜ嫌われたのか?
確かに僕はヨシコに無関心だった。今ならわかる。離婚しなきゃいけないとなってからじゃ遅いのはわかるが、今ならわかる。
旅行以外の思い出をヨシコにあげれてない。僕はヨシコに何もしてないんだ。
その旅行ですら八つ当たりをして泣かせてしまった。
逆に今までよく夫婦でいてくれた。
僕はなんてダメな旦那なんだ。

あんなにもヨシコを守ると、ヨシコを大切にすると誓ったのに、なぜ僕はダメになってしまったのだろうか。

整理するどころか自分のダメな所ばかりみつかる。

よし、まずはヨシコに話しかけよう。
わかってる。離婚はする。今さらなんとか引き留めれるとは思ってない。

ヨシコは本気で離婚しようと決めたんだ。

僕にできる事はヨシコに言われた選択を決める事と今までの僕を反省する事くらいだ。

普段、ヨシコに帰宅した事など伝えない。
でも伝えよう。僕なりの後悔だ。まずは会話をする為には話しかけよう。
夫婦としていられる時間はきっと短いのだから。

「ただいまー!」

ヨシコにもナナにも伝わる言い方で久しぶりに言ってみた。

「おかえりー!」

ナナが抱きついた。
ナナを抱きしめた。ヨシコはこちらを見る事すらせず僕が帰宅するなりバイトに出掛けた。
なぜかショックだ。
昨日までと同じ光景なのに、昨日までは気付かなかなったのに、今はショックだ。

でも、仕方ない。
見返りは求めない。僕は僕なりに考えてヨシコと接しよう。やれる事をするんだ。

ナナが満面の笑みで

「よっさん仕事だね!今日も二人だね!何する?」

と、聞いてきた。元気がないのを悟られないようにするので僕は精一杯だ。

いつもとかわらずナナとの時間はナナの為に全力でつかった。
空元気からなのかいつもより全力で遊んだ。
からなのか、いつもより早く寝たナナ。
ナナは可愛いらしい寝顔で寝ている。
ナナが寝付いた時にバイト中のヨシコからメールがきた。

【わざとらしく話しかけないで、今さら何も変わらない】

読んだとき、少しだけ辛かったが僕も何かかわるとは思ってない。
反省して、それをちゃんと言葉や態度にしようと思っているだけ。

【わかってるよ。僕なりに考えて行動してるんだ】

と、送ってからヨシコからは返信はなかった。

つい、落ち込んだ。落ち込んでなんかいられないのに。
僕は少ない時間で大事な判断をしなくてはいけない。なのに考える事がなかなかできない。
ナナの寝顔をじっくり見た。
毎日見ているはずなのにこうも状況が違うと感情が変わるんだな。
抱きしめたい。
起こしたら可哀想なので可愛い小さな手を少しだけ握った。

なぜだろう。
やはり落ち着かない。
急ぐ気持ちとは真逆に心がついてこない。

よし、今日は考えるのはやめよう。
今日の目標は心を落ち着かせることに集中しよう。

ナナの寝顔を見ながら、朝方までぼーっとしてみた。

ヨシコは僕が仕事に行く数分前まで帰ってこなかった。

ちゃんと「いってきます」は伝えた。

寝不足。というより寝てすらいないが、妙に頭は冴えている。長い時間落ち着かせる事に集中したからか、気持ちもかなり落ち着いた。
仕事にも支障はでなかった。

ヨシコにメールしてみた。

「今日バイト?」

「いいえ。」

「じゃあ夜出掛けていい?」

「はい。」

だけのやりとりはした。
昨日は心を落ち着かせる事に集中した。
今日は決めなくてはいけない。明日は話合うんだ。

ナナとの時間が惜しかったが、
たまには1人でゆっくり考える事に決めた。

仕事が終わり、1人の時間。
自分で1人になると決めたくせに何をしたらいいかわからない。
ヨシコと付き合って、ナナが産まれてからというもの1人で夜出歩く事などほぼなかった。
さて、どうするか。
お酒は飲まないほうがいいだろうか。

時間制限家族(4)

「話があるんだ。」


よく考えたら想定できたはずなんだ。
夜中に「話がある」と言われたら良い話なわけがない。
考える事すらしなかったんだ。話しかけられたのに、めんどくさいと感じてしまった。
この時だけじゃない。常に。めんどくさがっていたんだ。

そんな事はヨシコもわかってるんだろう。

「離婚したいんだ。」

一瞬なんの話しかすらわからなかった。そしてその次の一瞬で理解した。
ヨシコは「離婚したい」んだ。その言葉の通りではあるが少し頭が混乱した。
正直、離婚するとは思っていなかったから。なんとなくこのまま生活して、なんとなくこのまま生きて行くと思っていた。

「えっ、なんで?」

普通の返ししかできなかった。それだけ頭が混乱していた。

「もう、私達夫婦としては無理よ。」

わかってる。
夫婦ではなくナナの親としてここ数年は生きてきたから。
ヨシコとは【ほぼ同居人】になっていたのはさすがの僕でもわかる。

「いや、でもナナが。。。」

ついナナの名前を優先してだしてしまった。
ヨシコの気持ちを深く聞く前に。

「あなたが嫌いなわけじゃない。けど、もう私達夫婦ではないの。無理なの。あなたと夫婦だと思うだけで気持ちが沈むの。」

さっきまで話しづらそうにしてたとは思えないくらいはっきりと言われた。


「あなたが嫌いなわけじゃない」

はヨシコの優しさだらう。
今思えば、「話がある」とヨシコから言ったのだか、ヨシコから話すのを待った僕の時点で旦那の資格はないだろう。
妻が話があると言うのに心配すらせず、めんどくさそうにしていたのだから。
僕にはヨシコへの優しさがなかったんだ。

続けてヨシコは話す。

「家の事や財産の事は話し合いましょう。でも夫婦としては無理。あと、親権も渡せない。絶対に渡さない。」

色んな事が頭を巡った。
もう離婚するということに決まったのか?家?財産?親権?
より混乱した。

「急に決めないでくれ。」

という僕の昔から使い古されたセリフも、言ってる途中で

「急じゃない!!何ヵ月も悩んだの!苦しんで決めたの!もうプツンと切れちゃったの。」

ヨシコは発狂した。
僕はやっと、少しではあるがヨシコの事を考えはじめた。
昔から外出すらしない僕についてきてくれていたヨシコ。ヨシコの事を楽しませてあげようと考えれていれば外にでたはずだ。現にナナを楽しませてあげたい気持ちで僕は外出するようになった。
そう思うと僕は真剣にヨシコの事を考えてはいなかったんだろう。
いつかこうなるのは見えていたんだ。僕のせいで。

「うん。そうか。そうだよな。」

「うん。そうなの。だから別れてほしいの。」

僕が話を聞く姿勢を見せたらヨシコも少し落ち着いた。

「ナナの事もある。ナナはあなたを好きだからね。だから提案があるの。」

提案?あまりの目まぐるしい展開に僕は黙らざる終えなかった。

「提案というより選択してほしい。私としてはあなたと夫婦じゃないというだけで気が楽になる。だから籍だけ抜いて今の生活をするか、完全に別れて別々に暮らすかを決めてほしい。」

頭が混乱してるにしては僕なりに理解できた。
普通なら「じゃあ、今のままもう少し頑張ってみないか?」となるとは思うが、僕は妙に納得した。

妻としてのヨシコの気持ちと母親としてのヨシコの気持ちなんだろう。
僕はあぁだこうだ言う気にはならなかった。
これはめんどくさいではなく、ちゃんと悟った。

「わかった。いつまでに決めたらいい?」

「宙ぶらりんで落ち着かないのはいやだから次の休みの前の日(3日後)までに決めて。その時細かい話しはしよう。あとね、もし籍だけ抜いて今の暮らしをしても、きつくなったらどっちかがでていくからね。一生の話じゃないから。」

厳しい事を言われたが、僕は「うん。」とだけ答え、ヨシコは部屋に戻った。あんなに眠たかったのに寝れない。なぜか時間がもったいないと感じる。短絡的に決めてはいけないのはわかってる。

こうして僕の2日間の考える日々が始まった。

そのまま眠らずに仕事に行った。
仕事なんてできる気持ちではないと思っていたが、なんとかこなせた。むしろ考えなくていい時間として集中できた。
だが、帰宅する時には頭の中は【離婚】でいっぱいだ。

時間制限家族(3)

二人で色んな話もしたし、ナナの話は全部真剣に聞いた。
とにかくナナの為の時間を大切にした。


そんな生活を一年した。


そう。


【そんな生活を一年した。】


と、簡単に言うには2つの理由がある。
1人はそれだけヨシコとはからまなかった。
ナナのイベントは一緒に行くが、それ以外はナナと二人。休みの日もナナと公園デートを繰り返した。僕なりのヨシコへの意見は「普段家事や育児に仕事までやってんだから休みの日はゆっくりしたいだろう。」だったので、とにかくナナと一緒にいた。


今思えばヨシコとの会話の記憶がほぼない。


もう一つは。
ナナが寂しがらないでいてくれたから。
よく考えればヨシコはナナが帰宅し僕が帰宅するまではナナといる。毎日ヨシコは仕事行くわけでもない。ナナを僕なりに一年見ていて隠しているとは思わなかった。ナナが産まれてから毎日ナナの事を思って生きている父親だ。それくらいはわかる。
なんなら、「今日も遊ぼう」や「お菓子買ってくれた?」「パパのお布団は落ち着くの」というセリフがでてきた。


なんなら、ナナから「今日ママ仕事?」とよく聞かれる。「そうだよ。」と答えると「よっしゃー。」とナナ。
もう僕もナナと二人のほうが気が楽にはなっていた。ヨシコが休みの日は少し変な空気が流れるのでいつもより早くナナと寝室に行く。


僕はヨシコとナナの部屋でナナと遊んでから寝かしつけをする。
ナナが完全に寝てもすぐには部屋をでず、寝るギリギリまで、同じ部屋にいて、ヨシコが帰ってきたら自分の部屋に戻るようにしている。寝ている間にナナになにかあったら大変なので。


なのでナナはヨシコと毎日寝ている。
が、夜中に起きると僕の部屋に忍びこんで僕を起こす。「パパと寝たい」というナナを抱きしめ二人で寝る。


寝室を分けた意味がこの一年はなくなっているが、
わざわざ三人部屋にしたいともう一度ヨシコに言うのも結果が見えてるので言わず、この生活をした。


僕がいる所では聞いたことはないが「パパの部屋に行くのなら布団捨てるよ」と、ナナは言われている。それでも果敢に僕の部屋にくるナナも気合いが入ってるとしか言えない。


この、
「パパの部屋に行くのなら布団捨てるよ」発言は面倒くさがりな僕でもヨシコに言おうとはした。ナナがかわいそうだと。ナナなりに夜ママがいないのを我慢してるんだ。いちいち行動に罰を与えるんじゃない!って。
でも、僕が言ったら嫌みに聞こえるかと思い言わなかった。


いや、
やっぱり面倒くさかっただけだと思う。自分なりに理由を作ってはみたが結局は面倒くさいんだ、ヨシコに話しかけるのが。


ヨシコと話をする事自体が。


この頃はもう夫婦というより同居人になっていた。
ナナを育てるという同じ目的をもった同居人。わざわざ頭の中で【同居人】というキーワードはよぎってはいなかったが、感覚としては間違ってないだろう。


こんなすれ違いの生活でも僕は満たされていた。スクスク育ってくれる愛娘のナナ。ヨシコとはすれ違いばかりだがこれといってほとんど喧嘩しない生活に。


このままナナは成長し、それを一番近くで見守る。ナナの為なら仕事も頑張るし、ナナの為ならなんでもしてあげたい。
そういう生活をして、ナナが巣だったら適当に生きるかー。あっ、孫も楽しみだなー。


僕の頭の中にヨシコはいなかったんだ。




「離婚したいんだ」



あぁ。
やっぱりここからだ。
僕が後悔を始めたのは。

時間制限家族(2)

ヨシコのお腹にいる時から父親のつもりではいたが、初めてナナを抱っこした時、父親になった。

男なんてこんなもんなのだろうか。
それでも、この子を一生守ろうと決めた。

スクスク成長するナナ。

可愛いくて堪らない。仕事も早く帰ってきたいし、なんなら行きたくない。

さすがにそれでは生活できないので渋々行くが、早く帰ってナナに会うのが楽しみで仕方なかった。

それは今でも変わらない。

そう、産まれてから今の今まで変わらない。

毎週末は朝起きてからナナが起きるまでに朝ごはんを作った。

普段あまり料理はしないが、前の日からナナが何を食べたいか考えるのも楽しい。

ヨシコは自分が食べたい物を食べたいからなのか僕が作ったものを食べなかった。

まぁ、自分で決めたのならいいかと、自然とナナと僕の分しか作らなくなった。

ご飯を食べたらすぐさま外へ出掛けた。

なんといってもナナは外で走るのが大好き。

ナナは7ヶ月でヨチヨチ歩きを始めたくらいだ。あの時はヨシコと一緒に喜びと驚きで歓喜したのは今でも覚えてる。

とにかく外で遊ぶのが大好きなナナと共に遊ぶのは何にも変えられない僕の幸せな時間だ。

あの家からでなかった独身時代では考えられないが毎週外にでた。

毎日遊びたい。

たくさんいた友達とも遊びにいく事はやめた。少ないであろう我が子の幼少期を共にいたいと。

仕事終わりに一杯ひっかけて帰るなんてもったいない。早く帰ってナナに会いたかった。

毎日会っているのに毎日早く会いたかった。
マイナスが貴重な時間。

この子の為に僕の時間を使おう。

愛娘のナナに全てをそそいだ。

「親バカだ」

「子離れできない」

と、周りには言われるが

「親バカだからいいんだ」

「その時がきたらできる」

わかりやすい親バカっぷりを発揮して周りの話なんて入ってこなかった。

案の定、ヨシコとな会話は減ってきた。

もしかしたらヨシコは僕に話かけていたのかもしれない。
何かアクションをだしてコミュニケーションをはかってくれていたかもしれない。

もはや今さら聞く事もできないし、ヨシコもあの時と気持ちが違うだろうから。

もししていてくれていてもその時の僕は気づいてはいなかった。

ナナの入園、運動会だけは行った。

何があっても行きたかったし、ナナだけパパがいないという寂しい思いをさせたくはなかった。

本当は他のイベントも行きたかったが全部は休めない。
なので他のイベントはヨシコに任せた。僕のその時の
気持ちは

「僕は行けないけどヨシコは行けていいなぁ。」

だった。

ヨシコは僕に何も言わない。

から、何も感じず何も考えないダメな僕がいた。

ナナとの幸せな日々の中で、
ヨシコとの暗黙のルールが少しずつ減ってきた。正確には減らし、減らされた。

決して自然にではない。お互いが決めた。

ヨシコとのおやすみなさいのキスはなくした。そのかわりナナの頭にキスをするようになった。

僕からやめたつもりではあるがこれに関しては同意の廃止だと思っている。

いつのまにか歯ブラシを置くところも別々になった。帰宅時の「今から帰るよ」もやめた。

だいたい帰る時間がわかるんだから別にしなくていいかと。

「ただいま」

を言うのもやめた。

一度「ただいま」と言った時に何も返事をもらえなかったからだ。

何も言われないのならば言う必要はないなと。

ただ、ナナには全力の「ただいま」をした。

僕にしては珍しく反論したのは寝室を分ける話。

僕が風邪を引いてしまい、ナナに移ったらまずいと思い別部屋にした。

ナナの寝息や寝顔を見れないのは辛かったが、ナナが風邪を引いてしまうなんてかわいそうすぎるから。

早く治したいな。ナナと遊びたいなぁと自分を奮い立たせて高熱と戦った。

なんとか完治した時に布団を戻そうとした時、ヨシコから

「別々のほうがお互い楽だからこのままでいよう。」

と、告げられた。

当たり前のように反論した。

僕の今の幸せはナナとの時間だ!

苦痛でしかない。と。

ヨシコは最初は

「別々のほうが、、、」

と言ってはいたが、珍しく反論する僕をなだめる為にシフトチェンジをし始めた。

「朝あなたの目覚ましでナナが起きたらかわいそうだから。」

ナナの名前をだせば僕がひくと思ったのだろう。そう、わかりやすく僕はひいた。ナナにとってマイナスの事はしたくない。

苦渋の決断ではあったが、この話を受け入れた。
まんまとヨシコの作戦は成功。

でも僕は気付きもしなかったんだ。気付くわけがない。ナナとの事しか考えてない僕には。

なぜヨシコが一緒に寝たくないのだろうか?
なんて考えもしなかったから。
頭にすらよぎってないのだから。

少し違和感を感じたがある日突然ヨシコがアルバイトをすると言い出した。


それは1年前だ。


それと同時に車を購入した。僕はなぜ働くのか?なぜ車を買ったのか?なぜ何も言わず、バレないように

こっそりと事を進めていたのか。
ではなく、僕に相談しなかった事についてだけ少し小言を言った。

だけどそれ以上は言わない。どうせ何を言っても決めてしまった事を変える人ではないし、買ってしまった
ものは返せない。

仕方ないんだから、つっこまない。
関わっても時間と思考の無駄だと。

「これから色々お金かかるから、私も働く。働く場所は居酒屋に決めたから。あと、私忙しくなるから自分の洗濯物は自分でやって。」

と、だけ言われた。

僕は正直どうでもよかった。働く事も車を買った事も。

それよりも夜ヨシコがいない事によるナナの事を心配した。

母親が毎日ではないにしろ夜いないというのは寂しいのではないか。甘えたい時に母親に甘えられないのは辛いのではないか。

僕はナナの事しか考えていなかった。

家事をしながら働くヨシコの事を「自分で勝手に決めたんだから。」と、労うこともせず応援することもせず。


奇妙な3-2-1-2-3-2-3の生活が始まった。


朝は三人が家にいて、僕が出勤して二人。そのあとナナが登園してヨシコが一人。ナナが帰ってきて二人。僕が帰ってきて三人。ヨシコが仕事行って帰ってくるから、二人。三人。

よく見ると複雑な生活が始まった。
最初はさすがに不安だった。ナナが「ママに会いたい」と寂しくなってしまったらどうしようか。その時きっと僕ではダメだろうと。

その寂しい気持ちすら隠してしまってもかわいそうだと。

ナナがそうならない為にも今まで以上にナナとの時間を大切にした。

ナナに対して時間に厳しいヨシコ。なのでたまに少しだけ寝る時間を遅らせて遊んだり。
僕とナナだけの秘密を作ってみたり。たとえばヨシコの事を二人だけの時は「よっさん」とあだ名をつけた。

お菓子もひっそり買っておいた。
二人で色んな話もしたし、ナナの話は全部真剣に聞いた。

そう、ナナの話だけはきいた。

だから、こうなったわかではない。

ヨシコの話しもちゃんと聞いていればよかっただけなんだ。

その時の僕にはわからないが。

時間制限家族(1)

第1話

これは僕の【希望】の話だ。




ある静かな真夜中。布の擦れる音ですら騒音とも聞こえる程に静かな静かな真夜中。


僕は仕事の疲れなのか、可愛い可愛い我が子との有意義で楽しい時間を過ごせたことによる満足感なのか、深い眠りについていた。


それでもわかる位目の前が明るくチカチカと表現するのがベストな症状が突如あらわれた。

突如あらわれたチカチカによって起床したぼくは辺りを見渡しがあまり視界がよくない。


目を凝らして周りを見渡してみても何も感じない。



でも僕の部屋は確実に真っ暗な部屋ではなく明るい部屋に変化させられている。


どういうことだ?


たまに愛娘のナナが夜中に「パパと寝る。」と、言って僕の部屋に潜り込んでくる。でもいくら目を凝らしてもあの可愛い顔をしたナナは部屋にはいない。


そもそも最近、嫁のヨシコに就寝時のパパの部屋への侵入は禁止されている。


理由はわからなかったが


「そんな事ばかりしていたら布団捨てちゃうよ!」


と言われているらしい。それでも果敢に僕の部屋に潜り込んでくるナナを愛らしいと感じながらもこの子が叱られちゃうんだよなー。と、思いナナが僕の腕でスヤスヤ眠りについたのちに娘の部屋にソッと連れて行くのが僕の日課だ。


でも、やはりその可愛い可愛いナナは部屋のどこにもいない。


つい独り言で「どういうことだ?」と発してしまった。


そうしたら、静かなか静かな真夜中ですらうっすらとしか聞こえない声が聞こえてきた。


「ねぇ、起きてる?」


確かにそう聞こえた。誰かはわかった。

当たり前だ。


「聞こえるよ。」


と、答え。気付かなかったが腕一本しか入らない位ドアは空いていた。


腕だけ伸ばして明かりをつけたのだろう。

そこには珍しく少し元気のないヨシコが立っていた。


「話があるんだ。」


そう言ったヨシコの顔は元気はない。

ひとまず部屋に入るよう促し、座るよう伝えたが座らないヨシコ。

そのままドアの所に立っている。


少しの時間だったとは思うが静けさもあってか体感としては長い沈黙となった。


話がある。


と、言い出したのは僕ではないから僕から話しかけずに待つ事にした。


何かを言いたいがなかなか言い出せないヨシコ。それはわかっていたが僕からは話しかけなかった。


話したい内容も見当がつかなかったし真夜中ということもあってとにかく眠い。


「あのさぁ、、、言いにくいんだけど、、、」


「離婚したいんだ。」






そう。

多分ここからだ。

遅いのはわかってるが全てを【後悔】したのは。







僕は俗に言う普通の社会人。家族は嫁のヨシコと娘ナナの三人暮らし。


朝は家族が起きる前に出勤して夜帰宅。家事と言えば夕食後の食器洗いと休日の娘との食事を作るくらい。

そう、僕と娘のだけ。


育児といえば帰宅後に一緒に娘と風呂に入るのと、寝かしつけくらい。


とはいえ娘が安眠できるようにあの手この手をつかい楽しませたいし、休日は朝起きてから夜寝るまでマンツーマンで遊ぶ。


僕は十分、父親としての勤めは果たしているとおもっていた。


逆に言えば、仕事をして、家にいる時は娘との時間を大切にしている自分に酔っていたのかもしれない。




僕たちは恋愛結婚だった。

知人の知り合いの紹介で出会い、その日にお互い好印象を得た。


そこから親密な仲になるのには時間はかからなかった。


その頃の僕といえばあまり外出もせず、家でのんびりしてるのが好きな独身で、たまにのデートも居酒屋ばかり、付き合ってる時に行った旅行も大阪に一度きり。


しかもあまりの人の多さにイラついてしまい、八つ当たりをして泣かせてしまった。


そんな平凡以下の僕と一緒にいても、何一つ文句も言わず一緒にいてくれたのがヨシコだった。


自然と結婚するんだなぁと考え始め、自然と入籍までいった。


そして、ヨシコはナナを身籠ったヨシコ。


お腹にいる事に気付かず新婚旅行を設定し、いざ新婚旅行だ。と、いう前に発覚したがせっかく二人で考えた旅行なので妊娠発覚しても強行突破した。


この時はまだ会話はあった。確実に。


お互いに行きたい所を言い合い、せっかくなら豪華にしようと、国内ではあるが普段休みをあまりとれない分長めの旅行にした。


珍しく色々な事をした。身籠っているのでアクティブな事は中止にしたが、付き合ってる期間の思い出を上回る量の思い出をその一回の旅行で手に入れた。


裏を返せば、それだけヨシコに何もしなかったという事。




出産の時


予定日を過ぎてもなかなかヨシコのお腹からでてきてくれない娘。


医者にはこれ以上は危険なんで入院して出産を迎えましょう。と、言われ、


「ヨシコに何かあったら大変なんでなんとかしてください。」


と言った。気はする。


その時はヨシコが心配で仕方なかった。


ただでさえ1人では何もできないこの子が不安を抱えながら入院をするなんて耐えられるのだろうか。


緊急帝王切開になった時も、


毎日病院には行った。不安そうな嫁の顔をみて、励ました。


その日も病院の決められた時間いっぱいまで病室にいて、1人で帰宅。


どうしたらヨシコを元気にしてあげるのか。


色々心配はあったが、ヨシコを元気づけたかった。


「おやすみ」


のメールもちゃんとした。


その日の夜中に突然病室にいるはずのヨシコから電話がきて、か細い声で


「ナナが危ないから急遽帝王切開になった。今から病院にきて。」


と。


タクシーに乗った。

確かに乗った。タクシーが乗れる所まで結構な距離があったはずなのにその間の記憶がない。1つもない。


ある記憶はタクシーの運転手に病院の名前を伝えてから。まともにしゃべれてはいなかった。


それだけ必死だった。お腹の子供、そしてヨシコ。心配で堪らなかった。


病室について帝王切開を承諾のサインをして少しの時間会う事ができた。


不安で泣いている姿、いつもより小さく見えたヨシコ。


「大丈夫だ、大丈夫だから。」


としか言えない自分を情けなく思いながらこの人を一生守ろうと決めた。それはしっかり覚えてる。


1人になり、手術室の前にある椅子に座ったり立ったり。


明らかに落ち着きはない。


大丈夫なんだろうか。大丈夫なんだろうか。


と頭の中で何度も声を出していた。


時間にしてどれくらいたったかなどわからない。ただひたすら待った。言うならば何時かもわからないし、気にならなかった。

とにかく心配しかなかった。




そして、わかりやすく


「オギャー」


と聞こえた。


テレビで聞いたことあるわかりやすさでナナは誕生した。


それでも混乱している僕は、うちの子か?どうなんだ?で、頭がいっぱい。


その時分娩室に入っているのはヨシコだけなのでうちの子に決まっているのに。


最初の


「オギャー」


から何度となく聞こえる


「オギャー」


でも誰もでてこないし何も言ってくれない。


しばらくして看護師さんがピンクの帽子を被った、この世で一番可愛い生物を抱き抱えて連れてきてくれた。


なんて可愛いんだろうか。なんて表現したらいいのだろうか。こんなに可愛い生物がいたのか。と。


実はこの時なのかもしれない。


男だから、自分が親だとちゃんと認識できたのは遅いと思い込んではいたが、


きっと、僕の興味はこの時、ヨシコからナナへ移ったのだと、

今ではそう思う。

「全てを失って」

全てを失った。むしろマイナスだ。

と、ふと思う。

自分の、大切な全て。

誰かのせいにしているうちはまだいい。

いや、結局悪いのは自分だと。。

こう思いだしたら本当にまずい。

冷静になれる時はこれに気付ける。

実際、自分が悪くても、

自分の頭の中での思考を少しでもコントロールできているうちはマシだ。



問題は冷静さがなくなっている時、

死んでない。

生きているのに、

もう自分には何もないと。

マイナスだと。


自分に言い聞かせるように、

同じ気持ちの方々に伝えたい。

もし自分のせいだと、

悪いのは自分だと。

誰かのせいではないいと。

それはわかる。

きっと、本当に自分が悪いんだろう。


でもね、

生きていかなくてはいけない。

マイナスでも生きていくしかないいんだ、


誰かを頼ってもいい、

お門違いでも誰かのせいにすればいい、

自分は悪くない、なんて考えれないけど、

生きていくしかないから、

生きていくんだから、


声にだせなくても、

自分の中だけでもいいから、


言い訳しよう。

せめて気持ちが前向きになるまで。

頑張って生きていく力を取り戻してからでもいいと思う。

それからまともに生きていけばいい。


まずは前をむく、力を取り戻そう。

全てを失ったのなら、

もうこれ以上下はないんだから。

「頑張った」

私は1人で公園のベンチに座っている。
太陽に目がやられないよう気にしながら少し上を見ながらボーっとしている。
あぁ、ボーっとしてるなー私、と、思いながらボーっとしてる。

近くで小学生くらいの姉妹らしき子供たちが走っていた。
お母さんらしき人が頑張れ!と、まあまあ大きな声で二人に伝えていた。

あっ、思い出しちゃった。
高校最後のバレーボールの試合。
あんなに「頑張った」のに負けた。練習も「頑張った」つもりではあった。
でもあとあと気づいてしまった。
歩けなくなるほど「頑張った」か?試合相手より「頑張った」か?
私は頑張ってはいないんだ。「頑張った」つもり。頑張ることすら私はできないんだと痛感した。
あーあ、もっと頑張りたかったなぁ。

こんな微笑ましい光景を見ながら、嫌なことを思い出しちゃったなぁ。

と、その時、10分遅れてやってきた彼氏のダイキがやっときた。

「よー!わり!遅れた、、、ん?やっぱ機嫌悪い?」

私はやっぱり今機嫌悪く見えるのか。そうか。別にダイキが少し遅れたことなど怒ってはいない。
むしろ、自分の不甲斐なさを思い出して悲しんでいたところだったのに。

「べつにー、ダイキさぁ、頑張ってる人ってすごいよね」

すかさずダイキは、

「ん?頑張ってる人はすごいとはおもうけど、みんな何かしら頑張ってんだよ。「頑張った」!なんて胸張ることねーよ、もっと頑張れたのになーって、反省したり後悔したり、次はもっと頑張りたい!って思える人の方が俺はすごいとおもうけどな!」

ほんと、ダイキは、たまにすごいことを言うよ。
ほんと、ダイキのそういう所好き。
ありがとう。少しすくわれた。

前をむくのも大変

前をむく

それだけでも進歩だし

活力はでる

が、

それは逆に体力を使うこと



体力はいいけど、

相手あってのことだと

相手を心配してしまう



ほんとはいやではないか

無理させていないか



自分のことすらわからないのに

相手のことなんか

なおさらわからない

でも前をむく



1人の悩みより

相手の悩みを優先させたい

と、1人で悩むのだから

前をむくのも大変だ

下や後ろをむくより



楽しいけど

4

4ってなにかと不幸になるイメージ

娘に不幸がいかないように

娘に関わる4は全部もらってきた


全部もらうつもりで


でも自分に不幸がくると悲しむ


決めてたんじゃないの?


不幸を自分に集めるって


それに気付いたらなぜか楽になった

苦しんでも

悲しくても

全部の4のマイナスイメージを

自分にあつめる

誰かのために



そう思うと自分の不幸は必然で

決まっていたことのように感じられる

自分をだますわけではないが

それで自分を保てるなら

これからも4とつきあおう


自分のために

誰かのために


かかってこいよ、4